Amazonのオーディオブック「Audible」(オーディブル、以下同)の音声が文章を読み上げていくのと、人が紙の書籍の字を追って読んでいくのでは、どちらが速いのでしょうか?オーディブル利用者の筆者が、同じ本を用いて検証してみました。
オーディブルの読み上げ速度は変えられる。どれくらいの倍速がちょうどいい?聞き取れる限界の速さは?
まず、オーディブルの読み上げ音声の設定について解説します。音声は0.50倍から3.50倍まで、倍速を変えることができます。それでは、私たちが聞き取れるちょうど良い速さの設定や、限界の速さの設定は、実際にはどのあたりなのでしょうか?
数百冊を実際にオーディブルで読み上げてもらってきた筆者が出した結論は、ちょうど良い速さは広く見積もって2.00倍から2.70倍速ほどで、とりわけ、急ぎつつも聞き取れるのは2.40倍から2.70倍速ほど。そして全ての音節を聞き取れる限界の速さは、2.75倍速ほどでした。但しこの速さは、書籍のジャンルや難易度によって異なります。もちろん3.00倍速以上でも物理的には聞くこともできるのですが、仕様上、ナレーションの音節が潰れて聞こえてしまうような箇所が幾つか出てきてしまうため、かつ早すぎて内容が抜け落ちてしまう箇所がしばしば出てきてしまうため、筆者はできるだけ2.75倍速以上に設定しないようにしています。逆に、内容の大枠をできるだけ早く掴みたいという場合には、稀に3.00倍以上の速さに設定しています。
【検証】オーディブルでスムーズに聞き取れる読み上げ音声と、紙の本を目で読むのはどっちが速い?実際に比べてみた
ということで、ここからは、筆者がオーディブルでスムーズに聞き取れる限界の「2.75倍速の読み上げ音声」と、紙の本を目で追う「黙読」のどちらが速いのかを、実際に検証してみたいと思います。
今回筆者は経済学の書籍『現代経済学の直観的方法』(講談社、著:長沼伸一郎)を用いて、検証しました。
それでは冒頭、本章の見開き2ページ(p26、27)で比較します。
読み上げ音声(2.75倍速):1分23秒93
黙読:50秒46
続いて中腹の2ページ(p168)でも、念のため比較しましょう。
読み上げ音声(2.75倍速):1分33秒38
黙読:1分12秒41
いずれにおいても、オーディブルの読み上げ音声よりも黙読の方がかなり速いことがわかりました。
皆さんも実際に体験していただければわかると思いますが、簡単な内容であっても多少難解な内容であっても、たいていの場合は目で文章を追った方が、文章を読み上げるよりも速くなります。
ゆえに、単にインプット時間の短縮を目的にするなら、紙の書籍やKindleなどの電子書籍を自らの目で読んだ方が良さそうです。
しかしながら、オーディブルには可処分時間を効果的に使えるメリット(通勤時間や散歩中、料理中など手が塞がっていてもインプットできる)や、字を追うストレスを耳で聞き流すことに代替してくれる側面もあります。総合的に判断して、使い分けをしていくべきでしょう。
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