親が亡くなった翌日から、支払いの話が始まります。葬儀社、火葬場、病院、寺院、そして故人が使っていたクレジットカード。一方で、健康保険や自治体から戻ってくるお金は、申請してから決まるまでに数週間から数か月かかります。出ていく側と戻る側は、同じ月の中では並びません。
この記事は、葬儀をするかどうかを迷っている人に向けたものではありません。もう亡くなっていて、今週いくら足りないのかを知りたい人のために、出ていくお金と戻るお金を並べ、故人の口座から制度に沿って引き出す方法、そして借りる前に試す順番を整理します。数値と制度は2026年9月時点で確認した一次情報にもとづいています。
請求は翌日から来て、戻るお金は来月以降に決まる
出ていく側だけが先に動く
親を亡くした直後の様子を書き残している人がいます。以下は、SNS(Threads)の公開投稿から引用したものです(2026年5〜6月・投稿者が特定されない範囲で引用しています)。
どこにいくら支払うのか‥
各所から連絡やら、封書やらが届くはずが来ないし連絡もない。(中略)絶対色々間に合わない。
請求は先に届き、入ってくる側の連絡は来ません。制度の側が「申請を受け付けてから決定するまで」に一定の期間を置いているためです。後述するとおり、その期間は各制度が自分で公表している数字です。
「払えない」のではなく「順番が合っていない」
同じ人が、故人のクレジットカードの請求を受け取ったあとにこう書いています。
誰も払わないと言ってないんだよ。そんな大金払えないよと説明してるのにね。そして毎月これくらいなら払えるよと話もしているのに理解してもらえない。
払う意思はあります。毎月いくらなら出せるかも分かっています。それでも、一度に請求された額と、手元にある現金が合いません。この記事が想定している読者はここにいます。必要なのは「どうやって工面するか」の前に、「いつ、いくら、どこへ出ていくのか」と「いつ、いくら戻るのか」を分けることです。
この記事が扱う範囲を先に決めておく
デジタル庁が公表している行政手続の棚卸調査(2026年9月時点で確認した令和5年度の調査結果)では、「死亡・相続」に紐づく行政手続は1,460種類あり、そのうち597種類はオンライン化が実施されていないとされています。何をすればいいか分からないのは、読者の落ち度ではありません。
この記事はその全部を扱いません。今週のお金に直接効く数件だけに絞ります。相続財産の分け方、税金の申告、名義変更の細部は範囲外です。
今週出ていくお金(葬儀社・火葬料・お布施・香典返し)
支払いが先に立つ構造になりやすい
葬儀に関する費用は、サービスが終わってから請求される項目と、先に決めて先に払う項目が混ざります。葬儀社への支払い時期は各社の契約によって違い、施行後すぐの期日が設定されることもあります。契約書を交わす場面は亡くなった直後で、落ち着いて読める状態ではないことが多いため、支払期日と支払方法だけは必ず口頭でも確認しておくと、あとの計算が立ちます。
火葬料は、住んでいた場所によって差が大きい
火葬料は自治体や斎場によって金額が違います。公営の実額を2つ挙げます(いずれも2026年9月時点)。
大阪市立斎場の火葬料は、市民が大人(10歳以上)1体10,000円、市民以外の「その他の者」が大人1体60,000円です。一方、世田谷区・品川区・港区・目黒区・大田区が共同設置している臨海斎場は、組織区住民が12歳以上44,000円、組織区外住民が88,000円です。
同じ「公営の火葬料」でも、居住地の扱いによって大阪市では6倍、臨海斎場では2倍の差がつきます。故人が住んでいた市区町村がどこか、申し込む人がどこの住民かで金額が変わるため、斎場の料金表は必ず自分の条件の行を見てください。
火葬の許可を取る日が、必ず1日必要になる
墓地、埋葬等に関する法律にもとづく「埋葬、火葬又は改葬の許可」は、年間約179万件が扱われていますが、オンライン化は実施されていません(デジタル庁の棚卸調査・2026年9月時点で確認)。許可証の交付も、申請も同様です。
遺族は窓口へ行く日を1日確保することになります。平日の日中が一定時間奪われるということです。仕事を休む必要があるなら、その分の収入減も「今週出ていくお金」の側に入ります。
想定していなかった出費があとから足される
香典返し、寺院へのお布施、亡くなった病院からの請求。いずれも見積書には載っていないことがあります。
香典返し(満中陰志)どうしよう💦(中略)システム手数料も取られるから割高で、20000円近く金額が増えてしまう
出ていく側の一覧を作るときは、葬儀社の見積書に載っている金額だけで組まないことです。見積書の外にある費目を先に書き出しておくと、あとで慌てずに済みます。
出ていく側と戻る側をひとつの時間軸に並べた表は、後半の「出ていく側と戻る側を1枚の表にする」に載せています。
あとから戻るお金と、決定までにかかる日数
ここから制度の名前が出てきます。名前を知らなくても検索できるように、先に性質で分けておきます。戻るお金は大きく「健康保険から出るもの」「自治体から出るもの」「年金から出るもの」の3つです。
健康保険から出るもの(埋葬料・埋葬費)
協会けんぽの公式ページには、被保険者が亡くなったとき、生計を維持されていた方の申請で「埋葬料50,000円が支給される」と書かれています。申請できる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に「50,000円の範囲内で実際に埋葬に要した費用」が支給されます。被扶養者が亡くなったときは、被保険者の申請で50,000円です(2026年9月時点)。
「実際に埋葬に要した費用」には、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等の実費額が含まれると同ページに明記されています。
なお、国会でも厚生労働省の政府参考人が、健康保険には「埋葬を行う方に対しまして、五万円までの埋葬料」が支給される旨を答弁しています(2021年6月2日・衆議院厚生労働委員会)。制度の建て付けとしての説明であり、金額の現在値は協会けんぽの公式ページで確認してください。
自治体から出るもの(葬祭費)は、額も名前も一律ではない
同じ答弁の中で、国民健康保険と後期高齢者医療制度については「条例又は規約を定め、名前は違いますけれども、葬祭費等の支給を行うこととされております」と説明されています。全国一律ではないことが、政府の答弁として残っています。
実額を3つ並べます(2026年9月時点)。
- 大阪市:葬祭を行った方に50,000円
- 横浜市:葬祭を行った方に5万円
- 世田谷区:7万円(1人あたり)
同じ制度でも、市区町村によって2万円の差があります。そして名称そのものが違う自治体もあるため、自分の市区町村のサイトで探すときは「葬祭費」だけでなく「国民健康保険 死亡」などの言葉でも探してください。
支給までの期間を公式に書いている自治体は多くありません。3つのうち、世田谷区だけが「申請書類受理後、約1か月後に申請者(葬祭の費用を支払った方)の銀行口座に振込みます」と明記しています。大阪市と横浜市のページには、期間の記載が見当たりませんでした。
50,000円
50,000円
70,000円
出典: 大阪市(2026-09-15取得)/横浜市(2026-09-15取得)/世田谷区(2026-09-15取得)/国会答弁: 第204回国会 衆議院厚生労働委員会第24号 発言番号57(2021-06-02)。2026年9月時点。
年金から出るもの(未支給年金)
日本年金機構は、亡くなった方がまだ受け取っていない年金について、「亡くなった方と生活をともにしていた遺族の方が受け取ることができます」と案内しています。受け取れる遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族の順です。
請求先は年金事務所または街角の年金相談センターで、続柄がわかる書類と生計を同じくしていたことがわかる書類、請求者の預金通帳が要ります。障害基礎年金・遺族基礎年金のみを受けていた方が亡くなった場合は、市区町村の国民年金窓口が請求先です。
「決定までの期間」は「入金日」ではない
ここが、この記事でいちばん誤解されやすい点です。以下は、各制度がデジタル庁の行政手続棚卸調査に申告している標準処理期間の代表例です。いずれも申請が受理されてから決定までの標準的な期間であり、口座に入る日ではありません。加入していた制度によって窓口が変わるため、自分に当てはまる行だけを見てください。
- 健康保険 被保険者・家族埋葬料(費)請求:10日
- 未支給年金(厚生年金):38日
- 埋葬料又は家族埋葬料請求(地方公務員共済):3月
- (家族)埋葬料請求(国家公務員共済):1月
- 葬祭料等の請求(労災・業務災害):4月
- 葬祭給付の請求(労災・通勤災害):4月
- 葬祭扶助申請(生活保護):2週
決定までに10日かかる制度もあれば、4か月かかる制度もあります。しかも決定のあとに振込の手続きが続きます。「申請したのに来ない」のは、担当者が忘れているからではなく、制度が公表している期間の中にいるからです。
書類の不備があれば、この期間は最初から数え直しになります。遺族が「書類の不揃いで受付却下」されて1か月後に出直した、という記録も実際に残っています。最初の1回で通すことが、いちばんの時間短縮です。
なお、これらの申請には期限(時効)があります。今週のお金に間に合わなくても、申請そのものを落とすと戻る額がゼロになります。期限の詳細は後半で扱います。
出ていく側と戻る側を1枚の表にする
3つの列だけで足りる
用意するのは、費目、金額、そして「いつ動くか」の3列です。出ていくものは支払期日を、戻るものは申請日と決定までの標準処理期間を書きます。日付で並べ替えると、どの週に穴が開くのかが見えます。
多くの人が詰まるのは総額ではありません。総額では足りているのに、支払いが先で入金が後だから足りない、という時間差です。この表を作ると、必要なのが「お金」ではなく「数週間の繋ぎ」だと分かる場合があります。
本当の不足額は、差額のうち今週分だけ
表ができたら、いちばん近い支払期日までに出ていく合計から、その時点で確実に手元にある現金と、確実に入る見込みのあるお金を引きます。残った額が、この記事でいう不足額です。
この計算をしないまま金額を決めると、必要以上に大きな額を動かすことになります。
消える支払いもある
故人の住宅ローンに団体信用生命保険が付いていた、生命保険の受取人が自分だった、勤務先に弔慰金の制度があった。こうした事実は、亡くなった直後には分かりません。分かるのは1か月前後経ってからということもあります。
実際に、亡くなってから1か月ほど経ってから団体信用生命保険の加入が分かり「ひとつ大きな支払いが消えた」と書いている例もあります(同じくThreadsの公開投稿より)。確定していない支払いを、確定したものとして表に入れないでください。逆に、確定していない収入も入れないことです。
出金
出金
出金
出金
戻り金
根拠法令欄: 健康保険法施行規則第85条
戻り金
根拠法令欄: 生活保護法施行規則第1条第5項
戻り金
根拠法令欄: 国家公務員共済組合法施行規則第108条
戻り金
根拠法令欄: 私立学校教職員共済法施行規則第11条第1項
戻り金
根拠法令欄: 厚生年金保険法施行規則第42条第1項
戻り金
根拠法令欄: 地方公務員等共済組合法施行規程第112条第1項
戻り金
根拠法令欄: 労働者災害補償保険法第17条
日数の出典: デジタル庁「行政手続等の棚卸調査結果」(令和5年度・2026-09-15取得)。各制度が同調査に申告した「申請の受理から決定まで」の標準処理期間であり、法令が日数を定めているわけではありません。カード内に併記した法令名は、同調査の「根拠法令」欄の記載をそのまま引いたものです(条文そのものは取得していません)。件数・期間は概数で一部試算値を含み、本表は政府の公式見解ではありません。2026年9月時点。
故人の口座からは「勝手に」ではなく「制度で」引き出す
口座は動かせなくなる
金融機関が名義人の死亡を知ると、その口座からの出金は通常できなくなります。キャッシュカードと暗証番号を知っていても、遺族の判断で引き出すことは、あとの相続の場面で問題になりえます。
ただし、「だから一切触れない」しかないわけではありません。2019年に施行された制度で、遺産分割の前でも一定額までは単独で引き出せる仕組みがあります。
民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
条文はこうです。
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
計算の形にすると、引き出せる額は「相続開始時の預貯金残高 × 3分の1 × その人の法定相続分」です。
そして、条文が言う「法務省令で定める額」は、平成三十年法務省令第二十九号によって150万円と定められています。同省令は「民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額は、百五十万円とする」とだけ書いています。この150万円は、1つの金融機関ごとの上限です(2026年9月時点)。
| 預貯金残高 | 相続分 1/2 の場合 | 相続分 1/3 の場合 |
|---|---|---|
| 300万円 | 50万円 | 約33.3万円 |
| 600万円 | 100万円 | 約66.7万円 |
| 1,200万円 | 150万円 (上限到達) |
約133.3万円 |
出典: 民法第909条の2(e-Gov法令検索API・2026-09-15取得)/上限150万円: 「民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令」(平成三十年法務省令第二十九号・LawId 430M60000010029・2026-09-15 hourei MCPで取得)。2026年9月時点。
条文そのものが「平均的な葬式の費用の額」と書いている
注目してほしいのは、括弧の中です。上限を決める際に勘案する事情として、条文は「標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情」を挙げています。つまりこの制度は、葬儀の費用を念頭に置いて作られた面があります。遺族が使うことを想定した制度だということです。
使う前に確認しておくこと
使う前に、次の3点を確認してください。
第一に、必要書類と処理の日数は金融機関ごとに違います。戸籍一式をそろえる必要があることが多く、その取り寄せにも日数がかかります。「窓口へ行けばその場で出る」とは考えないでください。
第二に、条文にあるとおり、引き出した分は「遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」とされます。相続放棄を考えている場合には、次の章で扱う論点が残ります。故人の財産に手を付ける前に、弁護士・司法書士に確認してください。
第三に、この制度で出せる額は残高と法定相続分の計算で決まります。残高が少なければ、出せる額も小さくなります。
ここで足りない場合にどうするかは、この記事の後半「繋ぐ手段はコストの低い順に試す」でまとめて扱います。借入はその順番の7番目で、先に試す手が6つあります。
【PR】以下のリンク先はスカイオフィスの公式サイトです
払う前に決める順番がある(相続放棄の期限)
期間は3か月、ただし伸ばす道がある
民法第915条第1項はこう定めています。
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
前半だけを紹介する解説は多いのですが、後半のただし書きも条文の一部です。家庭裁判所に期間の伸長を請求できる道があります。申し立てれば必ず伸びるわけではありませんが、選択肢として存在します。故人の借入の有無が3か月以内に調べ切れないときは、この制度の存在を前提に専門家へ相談してください。
同条第2項には「相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる」とあります。調べる時間は条文上も認められています。故人にどれだけ借入があったかは、信用情報機関への情報開示請求(信用情報照会)で調べられる範囲があります。請求できる人の条件や必要書類は機関ごとに違うため、各機関の案内で確認してください。判断の材料が先、支払いはその後です。
何もしないことも、1つの選択になってしまう
民法第921条は、次の場合に単純承認をしたものとみなすと定めています。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
第2号が重要です。何も手続きをしないまま3か月が過ぎると、単純承認をしたものとみなされます。そして第920条は「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する」と定めています。プラスの財産だけでなく、借入も引き継ぐということです。
判断を保留したつもりの「何もしない」が、結果として1つの選択になってしまいます。ここが遺族のいちばん踏みやすいところです。
「葬儀費用を故人の預金から払ったら放棄できないのか」
よく聞かれる論点ですが、必ず単純承認になると断定することはできません。第921条第1号は「処分」に当たる行為を単純承認とみなすと定めており、どの行為が「処分」に当たるかはケースごとの判断になります。
したがって、相続放棄の可能性を少しでも考えているなら、故人の財産に手を付ける前に弁護士・司法書士に確認してください。順番が逆になると、選べたはずの選択肢が消えることがあります。この記事の主題である「今週のお金」より、この順番のほうが先です。
放棄したあとにも役割は残る
民法第939条は「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定めています。一方で第940条は、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないとしています。放棄すれば何もしなくてよい、ということではありません。
繋ぐ手段はコストの低い順に試す(借りるのは最後から2番目)
不足額が出たとき、いきなり借りるかどうかを考える必要はありません。コストの低い順に並べると、次のようになります。上から順に試してください。
1〜4番目:まだお金を動かさなくていい手
1つ目は、戻るお金の申請を先に出すことです。決定まで10日の制度も38日の制度もあります。1日でも早く出したほうが、繋ぐ期間が短くなります。
2つ目は、香典と親族での分担です。誰がいくら出すかを口頭で終わらせず、金額と時期をメモにして共有しておくと、あとで揉めにくくなります。
3つ目は、葬儀社への支払い時期の相談です。支払方法や時期の扱いは葬儀社ごとに違います。支払う意思があることを先に伝えたうえで、期日について相談できないか聞いてみる価値はあります。相談できる範囲と条件は各社の契約によります。
4つ目は、内容そのものの見直しです。契約前であれば、規模や内容を変える余地があります。
5〜6番目:手元の資産と決済で繋ぐ
5つ目は、さきほど扱った仮払い制度(民法909条の2)です。故人の口座に残高があり、相続放棄を検討していないなら、ここで繋げる可能性があります。ただし書類と日数の確認が先です。
6つ目は、クレジットカードでの支払いです。葬儀社がカード決済に対応しているかは事前に確認が要ります。なお、故人名義のカードは、一般に名義人の死亡後は使えない扱いになっています(各社の会員規約によります)。故人が使っていたカードの未払い分は、そのまま遺族に請求が届くことがあるため、5番目までの判断と切り離して考えてください。
7番目:借りる
ここまでで足りない場合に、はじめて借入が候補になります。順番としては最後から2番目です。借りること自体が悪いのではなく、先に試せる手を飛ばして借りると、返す原資の見込みがないまま残高だけが残るからです。
借入を選ぶ場合の申込先の比べ方は、中小消費者金融の選び方をまとめたページにまとめています。なお、この記事の読者は火葬の許可などで窓口へ行く日が先に埋まっていることが多いため、来店せずに手続きが終わるかどうかは判断材料になります。各社の申込工程を実際にたどって確認した結果はweb完結で申し込めるかを工程ごとに調べたページにあります。
8番目:公的な相談窓口
最後は、自治体の福祉の窓口です。生活保護の葬祭扶助は、標準処理期間が2週とされています。ただし、この制度は葬儀を行ったあとに申請するものではなく、原則として葬儀の前に福祉事務所へ相談する必要があります。順番としては最後に置いていますが、相談のタイミングだけは早いほうがよい制度です。該当するかどうかは、必ず窓口で確認してください。
なお、消費者金融には会社ごとに申し込みの対象条件があります。年齢、就業状況、勤続期間、健康保険への加入、他社の返済状況によっては、申し込めない場合や契約できない場合があります。本記事の読者には、年金で生活している方や、現在お勤めでない方も含まれます。申し込む前に、必ず各社の公式サイトで対象条件をご確認ください。
【PR】以下のリンク先はアローの公式サイトです
借りると決める前に確認する3つ
1. 返す原資が決まっているか
繋ぎとして借りるなら、何がいつ戻るのかが決まっていることが前提です。前章までに作った表で、決定までの標準処理期間を確認してください。「たぶん入るはず」で組むと、繋ぎが繋ぎで終わりません。
2. 誰の名義で手続きをするのか
故人の名義で新たに手続きをすることはできません。申し込むのは遺族自身です。そして、相続放棄を検討している段階であれば、故人の財産に関わる動きは前章の論点に戻ります。名義と順番を混ぜないでください。
3. 不足しているのは「総額」か「今週分」か
3つのうち、最も見落とされるのがこれです。総額では足りているのに支払いの順番が先に来ているだけなら、必要な額は思っているより小さいことがあります。表を作り直してから金額を決めてください。
やってはいけない3つ
1. 届いた請求を、開けずに置いておく
故人が使っていたクレジットカードの利用分は、亡くなったことで自動的に消えるものではありません。請求書が届いたときに何もしないでいると、状況は説明されないまま進みます。
払えない額であっても、連絡をして事情を伝えることはできます。実際、「毎月これくらいなら払えるよ」と伝えたうえで折り合いがつかず苦しんでいる遺族の記録もあります。うまくいくとは限りませんが、連絡しないという選択肢だけは残さないでください。
2. 相続放棄を考えているのに、先に故人の財産へ手を付ける
順番の話です。第921条第1号の「処分」に当たるかどうかはケースごとの判断になりますから、迷ったら動かす前に弁護士・司法書士へ確認してください。
3. 申請しないまま期限を過ぎる
埋葬料・埋葬費は健康保険法第193条により2年、厚生年金の保険給付を受ける権利は厚生年金保険法第92条により5年で時効にかかります。自治体の葬祭費は、今回確認した大阪市・横浜市・世田谷区の3つではいずれも2年でしたが、ほかの市区町村は確認していません。必ずご自身の市区町村のページで期限を確かめてください。今週のお金には間に合わなくても、あとから戻る分を失う理由はありません。
よくある質問
葬儀費用は誰が払うのですか
一般には、葬儀を主宰した方(喪主)が葬儀社との契約当事者になります。ただし、最終的に誰がどう負担するかは、相続人の間の話し合いや個別の事情によって変わります。ケースごとの判断になりますので、争いが見込まれる場合は弁護士・司法書士に確認してください。
故人の預金から葬儀費用を払うと、相続放棄ができなくなりますか
必ずそうなるとは言えません。民法第921条第1号は、相続財産の全部または一部を「処分」したときに単純承認とみなすと定めていますが、どの行為が処分に当たるかは一般にケースごとの判断になります。相続放棄の可能性があるなら、支払う前に弁護士・司法書士へ確認してください。
葬祭費はいくらもらえますか
いずれも申請が必要で、額は住んでいた市区町村によって違います。2026年9月時点で、大阪市と横浜市は50,000円、世田谷区は70,000円です。名称も自治体によって異なることがあります。自分の市区町村の公式ページで金額と申請先を確認してください。
申請してからどれくらいで振り込まれますか
「決定までの標準処理期間」は各制度が公表していますが、入金日そのものを公表している窓口は多くありません。3自治体を確認した範囲では、世田谷区が「申請書類受理後、約1か月後に…振込みます」と明記していました。大阪市と横浜市のページには記載が見当たりませんでした(2026年9月時点)。
生命保険金はすぐに受け取れますか
保険会社と契約内容によります。必要書類が1点そろわないだけで手続きが止まり、そのぶん支払いが後ろにずれることがあります。書類の一覧を最初に受け取り、まとめて用意するほうが結果的に早くなります。
手続きは1日で終わりますか
終わらないことが多いと考えておいたほうが安全です。火葬の許可はオンライン化されておらず、窓口へ行く日が必要です。市区町村の窓口、法務局、年金事務所は担当が分かれており、書類に不備があればもう一度行くことになります。
この記事で扱った数値と制度は、2026年9月時点で公的な一次情報を確認したものです。健康保険の給付額、自治体の条例、火葬料、法務省令の上限額は改定されることがあります。実際に申請する前に、必ず窓口または公式ページで現在の内容を確認してください。
そして、相続の判断に関わる部分は、一般的な整理にとどめています。個別の可否はケースごとの判断になりますので、故人の財産に手を付ける前に、弁護士・司法書士に確認してください。

